①みんなで楽しく食べよう|食育ピクトグラム

① みんなで楽しく食べよう
家族や仲間と、会話を楽しみながら食べる食事で、心も体も元気にしましょう。


農林水産省がまとめた「2017年度の食育白書」によると、同居家族と
「ほとんど毎日いっしょに食事を食べる」と回答した人は6割程度でした。

一方、一日のすべての食事をひとりで食べる頻度が「ほとんど毎日」と回答した人は11.0%。
「週に4~5日ある」と回答した人は4.3%、
週の半分以上、一日のすべての食事を一人で食べている人が約15%だったようです。

一人で食事をすることについて「一人で食べたくないが、仕方ない」「いっしょに食べる人がいないため、仕方ない」との答えが多くを占めており、望んでいないのに孤食になっている人が多いことが結果としてわかったそうです。
今回は、子どもへの影響に焦点を当てて考えていきたいと思います。


孤食の原因

高齢者の一人暮らしをはじめとした単身世帯、ひとり親世帯など核家族化が進んだ現代において孤食にならざるをえない家庭が増加していることが背景にあるようです。
共働きで親の帰りが遅かったり、子どもが塾や習い事をしていたり、子どもが大きくなりアルバイトで帰りが遅いなど家族の生活時間帯が異なることで食事の時間を合わせることが難しくなっているようです。


7つの「こ食」

1 孤食

前述したとおり「家族が不在の食卓で、望んでいないのに一人で食事をすること」です。コミュニケーションの機会が少ないことによって社会性や協調性が育ちにくく、また、失われやすいといわれています。

2 個食

家族がそろって食卓を囲んでいても、それぞれ違う物を食べている状態を「個食」といいます。

3 子食

子供だけで食事をすることです。親が仕事で帰宅が遅かったり塾や習い事、アルバイトなどで忙しく食事の時間が不規則といった子供に多いようです。栄養バランスが崩れることで心身の発達に影響を及ぼすことのほか、食事マナーを知らないまま育つこと、好き嫌いが激しくなるリスクが増大することなどが懸念されています。

4 小食

食事の量が少ないことです。子供や若者の小食は、成長に必要な栄養素の不足につながり、体力・気力の低下を引き起こします。高齢者の場合は、低栄養で身体機能が低下するおそれがあります。

5 固食

好物ばかりを食べていると、メニューが固定化されてしまいます。これが「固食」です。同じ物ばかり食べるため好き嫌いが改善されず、栄養が偏る可能性も。

6 濃食

「濃食」は、濃い味付けの物ばかり食べることを指します。将来的に塩味を感じにくくなるほか、高血圧や腎臓病など、さまざまな病気を引き起こす原因になるリスクがあります。実際に、高血圧や動脈硬化、腎障害などになった人は、健康な人に比べて、塩味を感じにくいという調査結果があるようです。※
※栄養学雑誌Vol.46 No.5 211~216 (1988)

7 粉食

粉から作られたパンや麺類などばかりを好んで食べること。粉ものは食感がやわらかく、あまり噛まなくても飲み込めるため、噛む力が育ちません。


孤食の問題点のひとつとして、食事の栄養バランスが崩れることで健康に悪影響を及ぼすことにあります。
子供にとっては肥満、やせ、体力の低下、コミュニケーション能力が育ちにくい、食事のマナーを教わる機会がないといった問題も出てくるのではないでしょうか。
一人で食事をすることで、間違った食べ方やマナーを注意してくれる人がいません。
子どもは、「何が間違っていて、何が正しいのか」分からないまま大人になるでしょう。
①食事の前には手を洗う
②「いただきます」と「ごちそうさま」を言う
③正しい姿勢で食べる
④食事中は立ち歩かない
⑤くちゃくちゃ音を立てて食べない
⑥口に食べ物を入れたまましゃべらない
⑦正しいはしの持ち方で食べる
これらのマナーは、幼児期からのご家庭での習慣によって習得していくものだと考えています。


心とカラダを育てる、家族との食事

共働き、仕事で帰りが遅くなり子どもと一緒に食事をとることが難しいときもあります。
完璧な食事を作ることだけが「食育」ではないと思います。たまにはスーパーのお惣菜だって出前だっていいのです。大事なのは、家族が食卓に揃ったときにどれだけ充実した時間を過ごせているのか、ではないでしょうか。
スーパーやコンビニをタブー視するのではなく、便利なものを上手に利用しながら、週に数度は家族一緒に食事をする日を決めたり、ご両親のどちらかが子どもと一緒に食事をするなどの工夫をすることで、子どもの心の安定を保ち、学力面での考える力や、お友達との人間関係を構築していくことができるのだと思います。
特に幼児期や児童期の子ども達にとって学校での出来事や最近の楽しかったことなど、たくさん話を聞いてあげたり、「美味しいね」「一緒に食べると楽しいね」といった充足感を得ることで自分は大切にされている、という自尊感情を得ることができるのではないでしょうか。

小児科医の巷野吾郎氏は「食べるということは、子どもが何歳であっても、どのような時代であっても、おいしく食べてこそ、体と人間の本能を満足させるものです。それには小さい時から家族全体で食事をする習慣をつけたいもの」と仰っています。

今回は子ども中心にお話しをしましたが、大人やお年寄りも然りです。

子どもの貧困の問題が大きくクローズアップされている昨今、様々な理由で食事がままならない子どもたちのために地域社会が支援する「こども食堂」が、全国で増加しています。
農林水産省では、2020年度から、子供食堂や子供 宅食において食育の一環としてごはん食を提供す る取組に対して政府備蓄米を無償交付をする取り組みを行なっています。

そんな「こども食堂」で注目したいのは、「子どもを救う」ためにスタートしたにもかかわらず、実はサポートしている大人にとっても大きな効用が生まれている、という側面。
例えば、子どもを見守るボランティア、勉強を教える大学生、折り紙などの遊びを子どもに教える高齢者たちは、自分の持っている技能や知識が役に立つことに喜びを感じるようになったそうです。さらに、自宅で食事ができない子どもだけでなく、一人暮らしの高齢者が食事を楽しみにしていたり、親子で一緒に食事に来る家族がいたりと、
「家族という形にこだわらない地域のコミュニティの食事の場」=「共食をする場」としても機能しているんですね。


まさに、食は人を繋げ、心を育てることがわかります。
食べる喜びを知り、食に関する正しい知識と生活習慣を身につけることで、将来は自分自身で「食」を選択する力が育まれるのではないでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございます。
次回の食育ピクトグラムは、【②朝ごはんを食べよう】です!