新型コロナウイルス抗体検査キットは精度が悪い?IgG・IgM・善玉・悪玉抗体とは

東京都大田区にある西馬込あくつ耳鼻咽喉科に院長の阿久津です。

新型コロナの抗体検査については、最近様々なニュースや報道が増えており、みなさん混乱されているかと思います。

その中で、当院の見解をできるだけ分かりやすくお伝えできたらなと思っております。

今回は新型コロナの抗体検査について、2つのテーマに沿って説明をしていきたいと思います。

1.新型コロナの迅速(簡易)抗体検査キットって、精度が悪いって報道されているけど、本当?

2.新型コロナの抗体のでき方は普通とはちがうという研究報告が!?

 

1.新型コロナの迅速(簡易)抗体検査キットって、精度が悪いって報道されているけど、本当?

6月1日に、福島県の病院と東京大学の児玉先生が公表した中で、福島県の病院で使われた迅速抗体検査キットの精度の悪さを挙げています。

販売元で行われた結果では、感度92%、特異度97%との記載があり、アジアやヨーロッパのいくつかの国でも承認されていた抗体検査キットだったそうです。メーカーまでは不明となっています。

※『感度』とは実際に新型コロナに感染しているときに、正しく陽性が出る確率を示します。
※『特異度』は新型コロナではないときに、正しく陰性が出る確率を示します。

東京大学が公表した検査の結果はこちらの図の通りとなります。

簡易検査キットとは、迅速抗体検査キットのことで、採血をして20分くらいで結果がでる検査のことです。
定量検査とは、東京大学で行っている高精度な抗体検査のことで、抗体量が測れる検査となります。

この結果から、以下のことが分かりました。

#迅速検査キットが陰性の方は、より精密な検査でも陰性となる。
#迅速検査キットが陽性の方は、擬陽性の場合がある。

※擬陽性とは、本当は陽性ではないのに陽性であると判断されることです

当院では、新型コロナの抗体検査を導入する時点で、より高性能で、患者様が安心できるよう抗体検査キットがないか準備を進めてきました。

その中で、見つけたのが現在使っている抗体検査キットであり、さらに複数のメーカーの抗体検査キットを所有し、

複数の抗体検査キットの評価を行うことで、さらによい抗体検査キットを探しておりました。

また、IgGが陽性になった患者様で希望者は全員、別の抗体検査キットを使うことで、より精度を高めてきました。

しかし、それだけでは患者様の不安が拭えない方がいる。

そう思い、当院で健康相談(抗体検査)を受けられた患者様全員には別途ご案内をさせて頂きました。

当院で健康相談を受けられた患者様は、当院のLINEをご覧ください。

抗体検査を受けに来た患者様のお話をお聞きすると、本当にこの1,2か月を大変な思いをして過ごされた方が多く、

少しでもその気持ちを軽くできるように当院でできることは、できるだけお手伝いをしていけたらと考えております。

新型コロナの抗体検査を受けたいが今後どうしたらいいか?

当院では、今回の件を受けて、より高精度な抗体検査ができないかを相談しておりました。

その結果、アボット製とロシュ製の抗体検査を連携施設にお願いをし、6月8日から実施できることとなりました。

アボット製とロシュ製は特別な設備が必要なため、今までクリニックで行うことができませんでした。

そのため、6月8日から当院での健康相談は、

迅速抗体検査キット + ロシュ製

迅速抗体検査キット + ロシュ製 + アボット製

の2パターンが選べるようになり、大きく変わります。

アボット製:感度は100%、特異度は99・6%。厚生労働省の実態把握調査に使用(東京・大阪・宮城)
ロシュ製:感度は100%、特異度は99.8%。精度が極めて高い。

ロシュ製・アボット製など、当院での抗体検査を希望される方はこちらからご覧ください。

すでに他の施設で迅速抗体検査キットで検査を受けたが、どうしたらよいでしょうか?

まずは、抗体検査を受けたクリニックにご相談を頂くことをお勧めします。

どちらのメーカーの抗体検査をしたか(メーカーの精度)、陽性が出た場合にどのような対応ををしたか、その後の対応がどうだったか

はそれぞれのクリニックで異なりますし、当院では分かりかねますのでご了承ください。

それでも、当院で相談したい、抗体検査をしたい方がいましたら、こちらをご覧下さい。

 

2.新型コロナの抗体のでき方は普通とはちがうという研究報告が!?

2つ目のテーマになります。

東京大学の児玉先生の発表により、新型コロナウイルスはどうやら通常とは異なるパターンの抗体を作るらしいということです。

一般的な抗体のでき方は、以下の図のようになります。

感染をしたら、まず新型コロナウイルス量がふえ、IgM抗体が体内にでき、すこし遅れてIgG抗体ができます。

しかし、新型コロナウイルスでは、上のパターンもありますが、下のようなパターンになる例も報告されています。(東京大学 児玉教授の発表より)

新型コロナウイルスではなんと、IgMよりもIgGが先に出る人がいるみたいです。

まだ仮定の段階ですが、このパターンの方は、過去に類縁のコロナウイルスにかかっていて、その後に新型コロナに感染しているパターンと推測されています。

その場合は、IgM抗体が陽性とならずに、過去に感染した類縁コロナにより、IgG抗体が先に陽性になるとのことです。

普通のコロナウイルスは冬の風邪の10~15%が原因となります。ですので、その時に作られた抗体が先に作用しているのかもしれません。

 

抗体にも、3つのタイプがある

免疫グロブリン抗体(IgG抗体)の中には、善玉・役なし・悪玉抗体が存在しており、どの抗体ができるかは、人により異なります。

善玉抗体・・・ウイルスと戦う抗体

役なし抗体・・・何もしない抗体

悪玉抗体・・・ウイルスの増殖を促進させる抗体

現在の所、新型コロナは抗体が比較的早く消えてしまうと言われており、一度感染したら一生つくような終生免疫ではないのではないかという見解があります。

善玉抗体、悪玉抗体、役なし抗体の3つの抗体ですが、免疫力の低下や体質により、善玉が多くできやすい人、悪玉ができやすい人が分かられているようです。

これから、新型コロナに感染しないように注意するには、免疫力がカギとなります。

今後、免疫力アップについて、情報提供をしていけたらと思っています。

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