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亜鉛

亜鉛

亜鉛は、タンパク質やホルモンの合成など、多くの代謝に関わっているとても大切な栄養素です。そして体内で作ることができない「必須微量ミネラル」です。欠乏すると、皮膚に影響が出たり、味覚障害、脱毛、免疫力低下などがあります。運動をしてよく汗をかく人や、ダイエットをしている人などは、積極的に摂取したい栄養素です。



亜鉛と聞いてもあまりパッとどんな働きをしているか分からないという方は多いのではないでしょうか。しかし、タンパク質やホルモンの合成など、多くの代謝に関わっているとても大切な栄養素です。そして体内で作ることができない「必須微量ミネラル」です。200種以上の酵素の構成や酵素反応の活性化、ホルモンの合成や分泌の調整、DNA合成、タンパク質合成、免疫反応の調節などに作用し、身体の成長と維持に必要な栄養素です。また、味覚に関わる細胞をつくる働きもあり、食べ物をおいしいと感じるのに欠かせない栄養素です。日本人は亜鉛欠乏状態の人が、先進国の中でも多く、最近の報告は10~30%が亜鉛欠乏状態にあると言われています。

最近の研究では、亜鉛が欠乏すると免疫不全が起こるといわれています。亜鉛は免疫細胞の働きを活性化させ、欠乏するとT細胞などの獲得免疫の働きが低下します。これらの研究から、ウイルス性感染症などの対策に亜鉛を摂り入れることが世界的にも注目されています。

※T細胞:ウィルスなどに感染した細胞を見つけて排除してくれるリンパ球と呼ばれる細胞の一種

亜鉛って?


冒頭にも記載しましたが、亜鉛は主に遺伝や細胞の新生に関わるミネラルの仲間です。生命の維持や細胞の正常な分化に深く関わっており、不足すると色々な「頭が重い」、「イライラする」、「疲労感が取れない」、「よく眠れない」など「なんとなく体調が悪い」という強く主観的な多岐にわたる自覚症状の訴えなどの原因になります。体内の様々な酵素を正常に働かせるための役割を果たしてくれている大事なミネラルということです。

ヒトでの欠乏症が知られるようになったのは1960年代に入ってからで、1970年代には亜鉛欠乏による味覚障害も発見されました。現在は、入院患者さんの静脈栄養などでももっとも注目されています。

亜鉛は大人の体内に約2g含まれており、鉄の次に多い微量ミネラルとなっています。前立腺、骨・骨髄、眼の脈絡膜、筋肉などにたくさん含まれており、コラーゲン合成に関わるため皮膚にも多く存在しています。



※引用:一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所

多く存在しているのは、前立腺や精子で、生殖機能の維持や、皮膚や骨格の発育などに不可欠の重要な成分です。それだけに新陳代謝の激しい組織や細胞ほど、”亜鉛不足”の影響が出やすくなってしまいます。普通の食生活を送っていれば過不足なく摂取できますが、汗や尿となって体外に排出されやすく汗を大量に流して運動する方、乳児や思春期の成長が著しい子供、ダイエット中、高齢者、骨折やけがをした人などは亜鉛不足に注意しましょう。

味覚を感じる細胞の集合体である味蕾(みらい)の形成にも重要な役割を果たしています。脳の機能を活発にして学習能力を高める、抜け毛を防ぐ、有害金属の属性を弱めて体を守る、動脈硬化を改善するといった効果もあります。

亜鉛にはどんな働きがあるの?


亜鉛は、300種以上の酵素に関わっていることが知られ、その効果は全身に及びます。亜鉛の具体的な効果は以下の通りです。

・皮膚を守る
・妊娠を維持する
・アレルギーを抑制する
・成長を促す
・けがや火傷の回復を促す
・骨を丈夫にする
・皮膚・骨格の発育を維持
・味覚・視覚・嗅覚を正常にする
・アルコールの解毒作用
・脱毛を防ぐ
・精力増強
・前立腺障害を防ぐ
・糖尿病を防ぐ(インスリンの構成成分)
・からだの酸化を防ぐ
・DNAやたんぱく質の合成に関与
・体内でさまざまな酵素の構成成分となる



※引用:一般社団法人オーソモレキュラー栄養医学研究所

■美白と亜鉛
何歳になってもみずみずしい素肌は年齢・性別を問わず憧れです。その美肌にミネラルである亜鉛が関わっているのをご存知ですか? 「皮膚は日々生まれ変わっている」とよく言われますが、肌が正常に新しい皮膚細胞を生みだしていくのに必要なのが亜鉛です。亜鉛は細胞の正常な分裂を促します。皮膚の90%はコラーゲンです。良質なタンパク質・ビタミンC・鉄とともに、美肌ミネラルの亜鉛、そして細胞の正常な分化を促すビタミンAも合わせて摂ることをおすすめします。

■母乳と亜鉛
赤ちゃんは日々成長します。生まれてからすぐの初乳には、出産後3ヶ月を過ぎた母乳の、なんと8倍もの量の亜鉛が含まれています。成長するとき、からだは1つの細胞を2つに、2つの細胞を4つにと細胞分裂を繰り返して、どんどん大きくなっていきます。この時に亜鉛が十分あることで細胞分裂がスムーズにいき、無事に大きくなっていきます。2歳ころになると、歯が揃いはじめ、イヤイヤ期を迎えます。この頃には、歯や骨の成長のため、亜鉛の消費がおおくなります。そのため、亜鉛が欠乏し、「ぐずる」、「夜泣きをする」といった症状がでてきます。


■成長期の反抗期
女の子は、10歳ころから、男の子は12歳ころから身体的な急成長を迎えます。このときにも身長の伸びに従って、亜鉛が大量に消費されます。そのため、亜鉛欠乏になる子供たちが圧倒的に増えます。当院で診察をしていても、アレルギーや風邪など違う症状で診察をしていますが、亜鉛欠乏のこどもにはよく遭遇します。この時期は、思春期でもあり、反抗期がきて当然と思われているご家族の方も多いですが、実はただの亜鉛不足ということも多いです。子供の反抗期が心配という方は、一度採血をしてみるといいと思います。採血をしなくても、診察をすると身体にでてきている子供も多いです。

亜鉛不足するとどんな症状が起こるの?


亜鉛の不足が続くといちばん出てくるのが皮膚症状です。そのほかの亜鉛不足の症状としては高齢者に味覚障害がよく見られます。しかし最近は子どもや若者の味覚障害も問題になってきています。

□成長が障害され、低身長となる
□性腺発育不全がおこる
□精子の形成が障害され、男性不妊の原因となる
□無欲化、情緒不安定、行動異常、記憶障害、うつ症状
□食欲不振
□びらん、水疱、乾燥、などの皮膚症状(おもつかぶれ・アトピー)
□脱毛
□傷の治りが遅い
□無欲化、情緒不安定、行動異常、記憶障害、うつ症状
□下痢、胃腸障害が起こる
□風邪を引きやすい
□正常な味を感じない(濃い味が好きになる)
□鉄欠乏性貧血
□活性酸素障害が起こる
□ドライアイ・ドライマウス

亜鉛不足になりやすい人は?


食事やサプリなどで亜鉛を取っていていても下記に当てはまる方はより多くの亜鉛が必要となります。そのため、意識して摂取することが必要です。

□成長期・妊娠・授乳(細胞分裂が盛んなとき)
□よく汗をかく(亜鉛が汗だ排泄されてしまう)
□利尿剤を使用している(九州の阻害をしてしまう)
□ステロイド・抗精神病薬・睡眠導入薬・降圧薬・糖尿病薬をもらっている
□ダイエットしている
□味を感じにくい
□加工食品やインスタント食品をよく食べる
□肝臓の機能が悪い

1日に必要な摂取量はどのくらいなの?


亜鉛は、食べ物から摂取された亜鉛は小腸で吸収され、その吸収率は約30%といわれています。そして年齢とともに亜鉛の吸収率は低下してしまいます。吸収された亜鉛は、その多くがタンパク質とくっついて存在しています。亜鉛の吸収を助ける因子としては動物性タンパク質が挙げられます。動物性タンパク質の摂取量が増えると亜鉛の吸収も増えるといわれています。またビタミンCや胃酸分泌が良い方、腸管の機能が良好な方も亜鉛の吸収を助ける因子のひとつです。亜鉛の吸収を妨げる成分としては、フィチン酸(玄米)、シュウ酸、リン酸塩(膨張剤・乳化剤・イーストフード・PH調整剤と記載されている)などが挙げられます。

ダイエットなどで食事量が少ない状態が続いたり、偏った食事をしていると、亜鉛不足が原因の味覚障害になる可能性があり、近年では特に若い女性の亜鉛不足が問題となっています。3食きちんと食べていたとしても、加工食品などを使っている場合は注意が必要です。加工食品や精製された穀類は亜鉛含有量が低く、さらにリン酸塩を使用されているケースがおおいので、日常的に食べていると不足しやすくなってしまう栄養素です。また菜食主義者(マクロビなど)も亜鉛は不足しやすくなっています。玄米を主食としているかたも亜鉛欠乏のリスクがあります。高齢者は、亜鉛不足になると床ずれの回復が遅れたり免疫力の低下につながるといわれ、積極的に食事に取り入れましょう。

通常の食生活ではとり過ぎの心配はほとんどありません。しかし、亜鉛は全身の細胞内に存在しているため、亜鉛不足は多くの悪影響があります。貧血、食欲不振、皮膚炎、生殖機能の低下、慢性下痢、脱毛、免疫力低下といったさまざまな症状が出てしまう可能性があります。そのため、亜鉛は意識して摂取するようにしましょう。サプリメントを服用する場合は、摂取量などには十分に注意して適切なご利用をこころがけてください。また、亜鉛の取りすぎは、血液中の銅の数値が低くなることもあります。症状があって、サプリメントを併用したい方は、栄養に詳しい医師にそうだんするとよいでしょう。

下記は厚生労働省が日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書を基に、ポイントをスライドにまとめた一部です。厚生労働省の推奨量は、必要最低量であり、普段からこの量を摂取できていれば問題がないわけではありません



※引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

亜鉛を多く含む食材


亜鉛は魚介類に多く含まれていますが、その中でも、牡蠣やうなぎは亜鉛の量が多い食材です。牡蠣には100gあたり14.5㎎と亜鉛が多く含まれているため、少ない量で多くの亜鉛を摂取することができるためおすすめです。その他、レバー、牛肉、煮干し、種実類(マツの実、かぼちゃの種)があります。牡蠣はおすすめですが、毎日摂取することが難しいですので、おすすめは煮干しだしです。味噌汁に煮干し出しを足して飲むことで、亜鉛欠乏を防げます。



食べ物で気をつけたいのは、さまざまな用途で加工食品に使われる「リン酸塩」です。リン酸塩は、原料である肉の水分を保つ効果があり、柔らかい食感になり、おいしくなるためにソーセージやハムなどに使用されています。しかし、リン酸塩を摂取すると本来吸収できた栄養素が阻害されると言われています。マグネシウム・亜鉛不足の方は特に気をつけて食品を食品を選択していただきたいです。リン酸塩は、長期にわたって過剰摂取すると、腎機能の低下、副甲状腺機能の亢進、カルシウムの吸収抑制などが起こることと言われています。

亜鉛はクエン酸やビタミンC、動物性タンパク質と一緒に摂ることで摂取効率が上昇するとされています。

亜鉛×タンパク質 (肉類、魚介類、大豆製品、卵など)
亜鉛はたんぱく質を多く含む肉類や魚介類、大豆製品に含まれていることが多いですが、たんぱく質とあわせて摂取することでよりたんぱく質合成が促進されます。ピッタリなのは、韓国料理の「スンドゥブチゲ」です。亜鉛が豊富な牡蠣と一緒に豆腐や野菜、海鮮であればアサリ、肉類であれば疲労回復に大切な豚肉などを入れましょう。様々な栄養素を一緒に摂取することができます。また、キムチに含まれる乳酸菌はタンパク質や脂肪の分解する働きがあり、便秘予防にも効果があります。亜鉛は水溶性なので、汁ものや鍋など、ゆで汁に溶けだしますので、しっかりスープも飲みましょう。

亜鉛×ビタミンA (レバー、にんじん、ほうれん草、小松菜、モロヘイヤなど)
ビタミンAは亜鉛の吸収を高める効果がある一方、亜鉛がビタミンAの代謝に関わり、ビタミンAの抗酸化作用を促進します。

亜鉛×ビタミンC×クエン酸 (梅干し、レモンなど)
ビタミンCはクエン酸のキレート作用を強めて亜鉛の吸収率を高めます。

まとめ


亜鉛は不足をしていても、過剰に摂取しても身体に悪影響が出てしまいます。亜鉛は牡蠣をはじめとして、レバー、牛肉、煮干し、種実類(マツの実、かぼちゃの種)などに多く含まれています。食事では、亜鉛を中心に考えるのではなく、様々な材料を使うことで、全体の栄養バランスを考えて食事をすることで免疫力の高い健康な身体を目指すことができます。免疫力を保つ、上げるには亜鉛の摂取ももちろん大切ですが、亜鉛以外の栄養もバランスよく摂取することが大切です。野菜不足、栄養の偏り、過食などは免疫力低下の原因となります。

妊娠を考えている人、授乳をしている人、アトピー性皮膚炎で悩んでいる方、運動をしてよく汗をかく人や、ダイエットをしている人などは、積極的に摂取していきましょう。食事の中で摂取できるのが一番ですが、毎日は難しい場合もあります。そんな時はサプリメントなどで補ってあげるのも一つの方法です。健康で元気な生活をおくるためにも、亜鉛の摂取を意識していきましょう!

栄養外来は
西馬込院のみです