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葉酸

葉酸

葉酸はビタミンB群の1つです。妊婦さんに限らず、年齢問わずに女性、男性、子どもにも大切な栄養素です。葉酸が欠乏すると貧血やめまいなどが起こると言われています。妊娠中の方以外には特にアルコールをよく摂取する人や、欠食の習慣があり食事量が少ない方、極端な偏食がある方などは不足しているかもしれませんので積極的に摂取を心がけましょう。

葉酸はビタミンB群の1つであり、葉酸は、水に溶ける水溶性ビタミンのひとつです。妊婦さんが積極的に摂取するイメージがあると思います。ほうれん草など緑の葉に多く含まれるためこの名がつきました。

ビタミンB群に属する栄養素としては...
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンB12、葉酸などがあります。






ビタミンB群はどれかひとつだけでは効果を発揮しにくく、お互い助け合いながら働きます。葉酸は人体の成長にとても必要な栄養素です。DNAの合成を促進して、赤血球の生成や多くの生体機能に関わっているため、よくイメージされる妊婦さんに限らず、年齢問わずに女性、男性、子どもにも大切な栄養素です。葉酸が欠乏してしまうと、核酸が合成されず、細胞の分裂や成長、DNAの形成が阻害されてしまいます。細胞の分裂や成熟に大きく左右します。なぜ、妊婦さんに摂取をしているかと言うと、細胞分裂を繰り返し、成長を続けていく胎児にとっては重要なためです。

葉酸って?


葉酸を発見したアメリカのスネルは肝臓に含まれる悪性貧血予防因子(ビタミンM)がほうれん草にも含まれることを発見し、「葉酸」と名付けたのが始まります。葉酸の化学名は、プテロイルグルタミン酸(PGA)です。ほうれん草に限らず、野菜に多く含まれています。

冒頭でもお伝えしましたが、葉酸は細胞の生産や再生を助けることから細胞分裂にも深く関わる栄養成分です。そのため、体内の葉酸が欠乏することで「巨赤芽球性貧血」が起こる可能性が極めて高くなると言われています。ちなみにこれはビタミンB12についても同様です。
※悪性貧血または大球性高色素性貧血とも呼ばれます

また、妊娠初期の女性が十分な葉酸を摂取すると、胎児において神経管閉鎖障害という神経管の発育不全になるリスクを減らすことがわかっています。そのため、妊娠前から産後にかけて摂取することが推奨されています。

さらに最近の研究にて、性別問わず摂取することの必要性が研究結果で多数報告されています。なぜならば、脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患を防いだり、虚血性心疾患のリスク低下に葉酸が関与しているからです。

何度もお伝えしますが、葉酸やビタミンB6、ビタミンB12には、代謝を促進する酵素を補う役割があります。これらが不足すると肝臓の代謝が滞り、血中のホモシステイン量が上昇します。ホモシステインには、血小板を凝集させたり、血管を広げにくくしたりする作用があるため、血中に増えすぎると動脈硬化を招きやすくなります。つまり、葉酸やビタミンB6、ビタミンB12をしっかり摂取することは、血中のホモシステイン濃度を低下させ、動脈硬化の予防・心疾患リスクの低下につながると考えられるからです。

葉酸にはどんな働きがあるの?


ビタミンB12と葉酸がお互いに助け合って下記のような働きがあります。
・神経を守り、正常な働きを維持する
・ヘモグロビン、赤血球の合成造血作用に関与する
・たんぱく質の代謝を促す
・核酸の合成に関与する
・脳の発育を助ける

葉酸が不足するとどんな症状が起こるの?


葉酸が欠乏すると細胞分裂が正常に行われなくなります。そうなると、骨髄の中の赤芽球(赤血球になる前の未熟な細胞)が通常より大きくなります。これが巨赤芽球です。赤血球になる前に壊れてしまうと、赤血球が不足し貧血が起こります。貧血の症状としては下記があります。

□めまい
□立ちくらみ
□動悸
□息切れ
□疲れやすい
□耳鳴り
□頭痛
□顔面蒼白
□舌の表面がツルツルになり痛みも伴うハンター舌炎
□味覚低下
□食欲不振
□悪心などの消化器症状

葉酸不足になりやすい人は?


葉酸を取っていていても下記に当てはまる方はより多くの葉酸が必要となります。そのため、特に不足しないように注意が必要です。

□偏った食生活
□過度の飲酒(アルコールは葉酸の吸収を妨げます)
□妊娠
□薬剤(がん、関節リウマチ、ひきつけ発作を治療する薬剤)

葉酸は、アミノ酸核酸の合成に必要となる補酵素のため、細胞分裂の盛んなところに欠乏症が現れやすくなります。妊娠期に葉酸が欠乏すると、神経管閉鎖障害が起こり、重度の場合には死に至る場合があります。妊娠中の女性は、葉酸の体内需要が高まってしまいます。妊娠中でなくとも、ピル服用中の女性は腸管からの葉酸の吸収が悪くなるため、不足しないように注意が必要です。

また、お酒の好きな方は葉酸欠乏になりがちです。予防のため緑黄色野菜を積極的に食事に取り入れることをおすすめします。食事での摂取が難しい場合は、男女問わず、葉酸サプリメントの摂取を習慣づけるとよいでしょう。

1日に必要な摂取量はどのくらいなの?


日本人の平均した摂取状況は、国民健康・栄養調査結果にて十分な量であると言われています。つまり、通常の食生活では摂取不足による欠乏の心配はほとんどありません。最初の方でもお伝えしましたが、葉酸が欠乏すると、ビタミンB12欠乏と同様に巨赤芽球性貧血を引き起こしてしまいます。また、動脈硬化の引き金になる血清中のホモシステイン含量も高くなります。妊婦さんにとっては、胎児の正常な生育にも不可欠なため、母体の葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害や無脳症を引き起こします。

過剰症は認められていませんが、サプリメント等で過剰に摂取すると亜鉛の吸収阻害を起こす可能性があります。また、ビタミンB12欠乏によって神経障害の発見が遅れる危険があります。どのような栄養素にも上限が設定されていますので少なすぎず・摂りすぎに注意をしてください。

妊娠中の女性は、必要な量が普段の2倍近くになります。足しやすいため、いつも以上に積極的な摂取が望まれます。(妊娠中期及び後期の妊婦は480㎍、授乳中は340㎍が推奨量とされています)また、妊娠を計画している、あるいは妊娠の可能性のある女性は、妊娠する前から1日あたり、400μgの摂取が望ましいとされていますので、積極的に摂取しましょう。

その他にも、若い女性が極端な食事制限によるダイエットで葉酸不足になってしまう可能性がありますので注意しましょう。ダイエットをしている中で、初期の妊娠に気づかない状態の場合、胎児へ悪影響を及ぼすことも心配されています。妊娠の可能性のある若い女性では、ダイエット時こそ緑黄色野菜などをきちんと食べ、食事の栄養バランスに気をつけることが大切です。成人の体内では、毎日血液40~50ml分の赤血球がこわされ、骨髄で新しく作られています。葉酸は悪性貧血患者を対象に大量投与されており、これらの副作用を参考に正常人にとって安全な量として1000μg/日が上限量となっています。

下記は厚生労働省が日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書を基に、ポイントをスライドにまとめた一部です。厚生労働省の推奨量は、必要最低量であり、普段からこの量を摂取できていれば問題がないわけではありません。


※引用:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」

葉酸を多く含む食材


葉酸は、藻類、肉類、野菜類、卵類、乳類、豆類などに多く含まれています。水溶性でかつ光・熱に弱い性質のため、新鮮なうちになるべく加熱せず食べられるサラダなどで摂り入れるのがおすすめです。もしくは汁物やスープなどで栄養を無くさず、丸ごと食べられる調理法がよいでしょう。腸内細菌からも一部合成されるので通常の食事であれば不足することはほとんどありません。

また、葉酸はビタミンB6やビタミンB12、ビタミンCとの強い関わりがあります。他の栄養素がなければ葉酸の働きが期待できません。野菜や果物を食べるのと同時に動物性の食品に含まれているビタミンB12をとる必要があります。



オレンジジュースやバナナには、ポリグルタミン酸型の葉酸を、吸収可能なモノグルタミン酸型に変える酵素を阻害する化合物を含まれているため、注意が必要です。

《ポリグルタミン酸型とモノグルタミン酸型》
ポリグルタミン酸型:食品に含まれている葉酸のことを表します。吸収率は、約50%といわれています。つまり、食物から摂取した葉酸は、約半分しか利用できていないことになります。
モノグルタミン酸型:主にサプリメントなどに含まれている葉酸のことを表します。サプリメントを選ぶ際には、吸収率が約85%と高めのモノグルタミン酸型葉酸のサプリメントがおすすめです。​

まとめ


妊娠中はもちろんですが、年齢や性別に問わず、他の栄養素とバランスよく一緒に摂取していく必要があります。栄養素はお互いに助け合って働いているため、1つの成分だけをたくさんとっても効率よく働くことはできません。必要な栄養素がバランスよく含まれたサプリメントならかしこく栄養がとることができます。​

妊娠中の方以外には特にアルコールをよく摂取する人や、欠食の習慣があり食事量が少ない方、極端な偏食がある方などは不足しているかもしれません。

何か1つの栄養素を摂ることを意識しすぎて、他の栄養素が足りていないと意味がありません。食事の基本は、規則正しくバランスを整えることです。ごはんやパンなど炭水化物を豊富に含む「主食」、肉や魚、大豆製品などタンパク質を豊富に含む「主菜」、野菜や海藻類などが中心の「副菜」、これらを揃えることでバランスが整いやすくなります。不規則な食生活は葉酸に限らず様々な栄養素不足影響してしまうかもしれないため、注意が必要です。

そして時にはサプリメントなどで補ってあげるのも一つの方法です。健康で元気な生活をおくるためにも、意識して生活しましょう!

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  1. パントテン酸 (ビタミンB5)

    パントテン酸はさまざまな代謝やホルモン合成などを正常に維持することに役立っています。パントテン酸が不足すると、ストレスに対する抵抗力が弱まってしまい、イライラや不眠や倦怠感などが出てきてしまうので、気になる方は積極的に摂取していただきたいです。

  2. ビタミンB2

    ビタミンB2は脂質・糖質・タンパク質が分解されエネルギーにかわる際にサポートする栄養素です。不足してしまうと、口内炎ができてしまったり、肌・髪のトラブルが出てきたりと様々あります。きちんと食事を摂っていてもビタミンB2は水に流れやすいので、実は不足しているという可能性があります。食事やサプリなどで意識的に摂取するようにしましょう。

  3. ビタミンB6

    ビタミンB6は、胎児期および乳児期の脳の発達や、免疫機能にも関与しているので大人だけでなくお子さんにも大事な栄養素です。腸内細菌によってもつくられることから、一般的にはきちんとした食事を毎日摂っていれば不足しにくいのですが、発育期のお子さんや月経中や妊娠中・授乳中の女性、抗生剤を長期間飲んでいる人などは積極的に摂取したい栄養素です。

  4. ビタミンB12

    ビタミンB12は血液をつくったり神経の機能を正常に保ったりするのに重要な役割を果たす私たちの身体の大事な栄養素です。欠乏すると貧血や不眠症、胎児・乳幼児の成長不良などにつながります。ビタミンB12は食品に添加されることがありますが、なるべく食品そのものから摂取することが望ましいです。

  5. ビタミンD

    ビタミンDはビタミンB群の1つであり、カルシウムのバランスを整えるのを手伝ったり、骨の成長促進、血中カルシウム濃度を調節する重要な役割のある栄養素です。摂取は食べ物からと日光から得ることができます。紫外線対策をされている方はビタミンD産生能力が低下することに加え、通常よりも多くのビタミンDを食事から摂取する必要があることが指摘されています。

  6. ビタミンE

    ビタミンEは抗酸化力が高く、実にさまざまな働きを持っているとても大切な栄養素です。血行促進やホルモンバランスなどを正常に保つ働きがあります。ビタミンEは多くの食品に自然に含まれるだけでなく、酸化防止剤として食品に添加されることもあります。食品を購入する際には裏面の原材料表示を確認し、良質の植物油を選んで積極的に摂り入れましょう。

  7. ビタミンK

    ビタミンKはビタミンB群の1つであり、止血や骨や歯を丈夫にするなどの効果があります。新生児や抗生物質を長期間飲んでいる人は欠乏しやすいので積極的な摂取が必要になります。カルシウムを豊富に含む食品と合わせて摂るのがおすすめです。

  8. 葉酸

    葉酸はビタミンB群の1つです。妊婦さんに限らず、年齢問わずに女性、男性、子どもにも大切な栄養素です。葉酸が欠乏すると貧血やめまいなどが起こると言われています。妊娠中の方以外には特にアルコールをよく摂取する人や、欠食の習慣があり食事量が少ない方、極端な偏食がある方などは不足しているかもしれませんので積極的に摂取を心がけましょう。

  9. ビタミンB3(ナイアシン)

    ナイアシンは、500種以上の酵素の補酵素として、エネルギー産生、糖質、脂質、タンパク質の代謝、肪酸やステロイドホルモンの生合成、DNAの修復や合成、アルコールの代謝など様々な機能に関わっています。二日酔いの原因にもなる「アセトアルデヒド」を分解する酵素の補酵素として働くため、アルコールをたくさん飲む人はナイアシンを積極的に摂り入れましょう。

  10. ビタミンB1

    日本人が1番最も不足しやすいと言われるビタミンB1は、炭水化物からエネルギーを産生するためにとても大切な役割を果たすビタミンです。そのため「食欲不振」「イライラ」「だるさ」「動悸」「息切れ」などが生じます。多くの食物に含まれていますが、体に貯蔵できず排泄されやすいため、知らない間に不足している場合もあります。

  11. ビタミンC

    ビタミンCはビタミンB群の1つであり、コラーゲンを生成し、血管・皮膚・粘膜・骨を強くし、免疫力を高めるなどの働きがあります。ストレスが多いと欠乏しやすいので、なにかと忙しい現代社会の中でストレス解消法を持つことが大切です。肌にハリ・ツヤなどの美容への期待や風邪や感染症などを防ぐのはもちろん、最近はビタミンCの抗酸化作用が注目され、がんや動脈硬化の予防や老化防止にビタミンCが有効であることが期待されています。

  12. ビタミンA

    口・鼻・喉・肺・胃などの粘膜を守り、がんの発症を抑えるビタミンA。髪や爪・美肌などの美容に必要不可欠ですし、高齢者の皮膚の感想などもビタミンA不足が関与しています。風邪をひきやすかったり、がん・動脈硬化・心臓病の予防をしたいなどの方は、積極的にビタミンAを摂取するよう心がけましょう。