鼻の病気

花粉症・鼻炎に対するレーザー治療

花粉症・鼻炎に対するレーザー治療

アレルギー性鼻炎や花粉症の鼻症状では、“くしゃみ、サラサラな鼻水、鼻づまり”といった特徴的な「鼻炎症状」が現れます。
この症状は“鼻の粘膜が炎症して、腫れていること”によって、引き起こされています。鼻炎に対する治療には「薬物療法」のほかに、腫れている鼻粘膜を焼いて、アレルギー反応を抑える効果が期待できる「レーザー治療」もあります。「レーザー治療」は、保険適用で治療が受けられる上、痛み・出血がほとんどありません。

特に鼻づまりが強い人、薬で鼻炎症状が抑えられない人、眠気など薬の副作用が出やすい人、授乳中などでお薬が飲めない人におすすめの治療法です。

つらい鼻づまりでお困りの方、事情があってお薬が飲めない方は、お気軽に当院へご相談ください。

鼻炎のレーザー治療とは?

当院では、鼻炎に対するレーザー治療に「炭酸ガスレーザー」を使用しています。
炭酸ガスレーザーは、鼻粘膜の表面だけを焼くことができるので、痛みや出血がほとんどありません。治療後、そのまま学校やお仕事などへお出かけいただけます。

また、健康保険が適用されるので、1回約9,000円で行えます。
※別途、診察料・検査費・投薬料等がかかります。

レーザー治療で期待できる効果

① 鼻づまりの解消

鼻の粘膜表面にレーザー照射すると、腫れていた粘膜が収縮して、鼻の中の空間が広がります。鼻づまり症状への有効率は、約80%です。(※効果には個人差があります。)

② くしゃみ・鼻水の軽減

レーザー照射によって、粘膜が収縮し固くなることで、外からの花粉が付着しづらくなり、鼻粘膜の表面に水分がなくなるので、体の中に入りづらくなります。

③ これまで飲んでいた薬を減らすことが可能

症状が軽減されることで、これまで服用していた薬を減らしたり、成分を弱くしたりすることができます。

④ 通院頻度を減らすことも可能

症状が改善することで、定期通院をせずとも生活できる可能性があります。

レーザー治療の効果には個人差があります。患者様によっては2回、3回と追加照射が必要な場合もあります。

鼻炎に対するレーザー治療に向いている人


・鼻炎症状(特に鼻づまり)が強い方
・一年中、くしゃみ・鼻水・鼻づまり症状のある方
・薬では症状を抑えることができない方
・薬を止めると症状が悪化する方
・薬による副作用(眠気など)が出やすく、仕事や日常生活に影響があって困る方
・妊娠を予定している方や授乳中の方など、事情があってお薬が飲めない方

レーザー治療の実施時期

「慢性鼻炎」やダニなどハウスダストが原因となる「通年性アレルギー性鼻炎」を患っている方の場合、いつでも治療可能です。
ただし、レーザー照射を行うと、一時的に鼻症状が悪化しますので、鼻症状が強く出ている時は、一度薬で症状を抑えてから実施します。

一方、花粉症の場合には、花粉シーズン中の治療は避け、シーズン外の秋~冬(10月~12月頃)に治療を行います。

レーザー治療の費用

治療費:1割負担の場合2,910円
3割負担の場合8,730円

その他、診察料とお薬代が必要です。

レーザー治療の流れ

① 問診・視診(初診日)

問診や視診を行い、鼻の中央の間仕切りの壁(鼻中隔)の具合など、レーザー治療が適応となるのかを確認させていただきます。
※鼻中隔の弯曲が強いと、レーザー器具の挿入ができない場合があります。

なお、この術前診察は、レーザー治療日よりも前に行う必要がありますので、一度受診下さい。

② 局所麻酔(レーザー治療当日)

鼻の粘膜に、表面麻酔と止血作用のあるスプレーを噴霧します。
その後、麻酔液を浸したガーゼを鼻の中に入れ、15分程度お待ちください。

③ レーザー照射

麻酔ガーゼを抜いて、内視鏡下で炭酸ガスレーザーを照射します。治療時間は10~20分程度です。(患者様の鼻の形態によって、時間に差異があります。)

少しの間、病院内で様子見を行ってから、出血がないのを確認して、ご帰宅となります。レーザー照射後は一時的に鼻が詰まることがあります。
※治療後、鼻の中に“かさぶた”ができてきますが、無理やり剥がさないようにしましょう。

④ 術後の診察(レーザー治療から1~2週間後)

レーザー治療から1~2週間後に、かさぶたのお掃除など鼻の中の状態をチェックするので、ご来院が必要です。

※術後2週間程度でかさぶたが剥がれ、その後は刺激に強い変性した鼻粘膜になります。

よくある質問

1) レーザー治療を受ける際の注意点はありますか?

出血しやすい方・血液をサラサラにする薬を飲んでいる方は、先に主治医にレーザー治療を受けて良いかをご確認下さい。
また、妊婦さんへのレーザー治療は、精神的な緊張・不安によって何か影響が起こるといけませんので、当院ではお断りしています。

なお、レーザー治療当日は、血行が良くなると鼻出血しやすくなることがあるため、入浴や激しい運動、飲酒をお控えください(シャワー浴はOK)。
かさぶたを無理やり取らないように気を付け、いつも通りお過ごしください。

2) レーザー治療は何歳から受けられますか?

鼻炎に対するレーザー治療では、年齢制限はありませんので、お子さんでも治療いただけます。

ただし、レーザー照射の際に動いてしまうと大変危険ですので、治療中にじっとしている必要があります。※麻酔の時間も含め、30分くらいです。
個人差はありますが、治療への理解などから小学校高学年(5年生~)くらいであれば、可能なお子さんが多いです。

3) レーザー治療の適応とならない人とは、どのような人ですか?

心臓のペースメーカーを装着されている方、緑内障、前立腺肥大等の持病がある方、麻酔薬に対するアレルギーをお持ちの方、妊娠中の方は、お受けいただけない場合もございます。必ず事前にご相談ください。

また、術前の問診で「鼻中隔の弯曲が強い方」もレーザー治療をお受けいただけない場合がございます。

4)治療効果はどのくらい続きますか?

レーザー治療は、アレルギー性鼻炎や花粉症の“くしゃみ・鼻水・鼻づまり”など症状を完全に治す治療ではありません。薬物療法と同じ、一時的に症状を和らげる“対症療法“です。

個人差はありますが、効果は半年~2年程度です。
花粉症の方は毎年行うと良いでしょう。

5)レーザー治療の副作用はありますか?

レーザー治療の副作用は、寒い時期に出やすい傾向があります。

術後1~2週間程度は、鼻粘膜が腫れて鼻づまりや鼻水が多くなりますが、レーザー照射による一時的な炎症反応です。
次第に治ってくるので特に心配ありませんが、症状を抑える薬を処方することがあります。

また、レーザー治療によって、嗅覚に影響が起こることはありません。

まとめ


「レーザー治療」は、鼻の粘膜表面を焼いて、刺激に強い変性した粘膜にすることで、鼻炎症状を軽減することができます。

その効果には個人差がありますが、半年~2年くらい続き、8割くらいの方がレーザー治療前よりも症状が軽くなったと感じられています。
もし効果が落ちてきたと感じたら、再度照射できることも、レーザー治療のメリットです。

ひどい鼻づまりでお困りの方、薬を飲んでも症状を抑えられなかった方、お薬を飲めない方は、是非お気軽に当院までご相談ください。

記事執筆者

記事執筆者

馬込駅前あくつ小児科耳鼻咽喉科
院長 岩澤 敬

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 専門医
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 補聴器相談医
日本めまい平衡学会 めまい相談医

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馬込駅前院 予約

西馬込あくつ耳鼻咽喉科
院長 阿久津 征利

日本耳鼻咽喉科学会 専門医
日本めまい平衡医学会 めまい相談医
臨床分子栄養医学研究会 認定医

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  3. アレルギー性鼻炎

    アレルギー性鼻炎

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  4. 花粉症

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  5. 花粉症・鼻炎に対するレーザー治療

    鼻炎に対する治療には「薬物療法」のほかに、腫れている鼻粘膜を焼いて、アレルギー反応を抑える効果が期待できる「レーザー治療」もあります。

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