昆布とかつお節の水で出す「だし」

当院では栄養士の大塚さんにご協力いただき毎週栄養たっぷりのレシピをご紹介します✨過去のレシピに関してはこちらよりご覧ください。第9回目は「だし」についてです。

だしは日本食のベースになっているものです。2013年に日本食がユネスコの無形文化遺産に登録され、海外でも出汁への関心が高まっています。皆さんの日々の食生活ではどのくらい出汁を活用した日本食を食べていますか?

日本食は、一汁三菜を基本に多様で新鮮な食材と素材そのものの味を尊重した調理から栄養バランスが非常に優れていると言われています。しかし、現代ではだしを使った煮魚やおひたし、酢の物やあえ物などではなく、お肉が中心で味が濃いものを食べている傾向にあると言われています。また、外食やコンビニ、ファストフードを利用する人が増え、さっと作れるイタリアン、中華、フレンチは作れても和食は作れないという人も増えているそうです。

では、なぜ「だし」をトピックに挙げるまで大事なのか、摂ることでのメリットなどをだしのレシピなどと合わせてご紹介します!

昆布とかつお節の水で出す「だし」

だしの材料

水 600ml
昆布 3g( 水の0.5%)
かつお節 9g( 水の1.5%)

だしの作り方

だしポットに水と昆布、かつお節を入れ一晩、冷蔵庫に入れる。
※7 時間ほど冷蔵庫に入れる

だしポットはamazonなどで購入できます。材料を入れて冷蔵庫に入れるだけもOKですし、商品によってはレンジ対応もしているので火を使わずに色んなだしを作ることができます。

だしの大切さ

和食を作る上では欠かせないのが「だし」です。だしには知られていない多くの魅力があります。

1、世界も認めるUMAMI
2、味覚を育てる
3、健康効果

1、世界も認めるUMAMI
普段何気なく食べているおかずなどに含まれている出汁ですが、実は水に溶けだしたうまみ成分があり、さまざまな健康効果があると言われています。海外でも「UMAMI」という日本発の言葉が国際語として普及しているそうです。

日本の「だし」の特徴は素材の良さを引き出すことにあると言われています。お料理の基本となる味に旨味を加えるための力があり、天然の調味料です。料理に、だしを用いてうまみ成分を生かそうという発想は、今から約800 年前の鎌倉時代に始まり室町時代にこんぶや鰹節を用いた「だし」が成立したといわれています。江戸時代の料理本ではいろいろなだしの取り方が紹介されています。

私たち日本人が「だし」を好む理由はその旨味にあります。世界で初めて、池田菊苗博士が昆布からグルタミン酸を取り出すことに成功して、グルタミン酸が昆布だしの主成分であることを見つけ出し、その味を「うまみ」と名付けました。その後、日本人を中心にさらに研究が進められ、うまみは、甘味、塩味、酸味、苦味に次ぐ第5の味覚として国際的にも広く知られるようになりました。

海に囲まれた日本で簡単に手に入る海藻類は日本人が不足しがちなアルカリ成分を補ってくれます。日常生活で、だしを取った味噌汁をいただくことで豊富なミネラルや天然のうまみ成分グルタミン酸を摂取することができます。日本の食生活の基本型は大事な栄養素の多くを補うことができます。

2、味覚を育てる
味覚は3歳までに急速に形成され、10歳頃にはおおむねベースがつくられると言われています。こどもの頃から塩分の高い味付けや甘いものばかりの食生活に慣れてしまうと、味覚が正しく形成されない危険性もあります。現在、3割のこどもが味覚を正しく認識できないと言われています。

赤ちゃんは、生まれながらに味覚をもっていて「甘味・苦味・酸味・塩味・うま味」という5種類の基本味を感じることができます。乳幼児期は大人の5倍も味が敏感に感じられているようです。味覚を育てるためには感覚に敏感になることが大切です。食べ物を口に入れ、どんな味がするのか?風味や後味は?と感じ、考えることで味覚は育っていきます。正常な味覚形成を助けるためにもだしのうまみを食べさせてあげてください。

かつおや昆布、野菜などからとるだしを料理に使うと、“だしのうまみ”のおかげで、調味料をほとんど使わなくてもおいしく食べることができます。うまみは、甘味や塩味と同様に、生まれながらに人間がおいしいと感じることができます。特にかつおだしのうまみは「やみつき食材」と言われるほど、くり返し与えてあげるとやめられなくなる魅力があることがわかっています。乳幼児期からだしの味を知り、そのうまみを記憶させると「食品がもつ自然なうまみ」をきちんと判断できる味覚を育てることができるようになると言われています。

3、健康効果
だしに含まれるうまみ成分は健康に役立つ成分があります。例えば、昆布などに含まれるアミノ酸の一種であるグルタミン酸は適度な食欲を刺激する一方、食後の満腹感を長持ちさせ、食べ過ぎを防ぐと言われています。また、カツオだしに含まれるイノシン酸には、血流を促す作用や疲労回復効果などが確認されています。そのほかにも、温かいだしを飲むことで身体が温まり、血流が促されるため、冷えの改善効果や肩こり・頭痛の緩和が期待できます。

だしを使った、たらの野菜あんかけ

【栄養士からコメント】
昆布と鰹節の味が上品で自分の料理が一段レベルアップしたと思える料理です 。
調味料は塩と醤油だけ ですが、これが「うま味」と感じる味でした。野菜の味も優しく身体にスッと入ってきます。材料を入れたら冷蔵庫に入れるだけで 簡単に「 だし 」 ができるので良かったら作ってください。「だし」が余ったらお味噌汁、お吸い物などに使ってください。

【材料】

生たら 2 切れ (150g)
もやし 1/2 袋 (100g)
ピーマン 1 個 (30 g)
にんじん 1/4 本 (50g)
片栗粉 大さじ2 程度
だし   150ml
しょうゆ 小さじ1
塩  ひとつまみ(1g)
水溶き片栗粉(片栗粉:小さじ1 ・水:小さじ 1)

【作り方】
1、たらはひとつまみの塩をふり20分ほどおき、出てきた水分をキッチンペーパーなどでふく

2、ピーマン、にんじんは千切りにする

3、たらに片栗粉をまぶし、フライパンに、菜種油を熱し入れ両面をカリッと焼いて器に盛る

4、鍋に、だしを入れ煮立て、にんじん、ピーマンもやしの順に入れ中火で煮る

5、醤油、塩を入れ水とき片栗粉を入れ沸騰したら火を止め、 器に盛ったたらの上にかけて出来上がり

まとめ

日本の「だし」の特徴は素材の良さを引き出すことにあると言われています。お料理の基本となる味に旨味を加えるための力があり、天然の調味料です。

忙しい日々が続いてしまうと、ついスーパーなどで売られているだしの素などを活用してしまいがちですが、実はとても簡単に作ることができます。だしの素などは添加物が多く含まれていることもありますので、できればご自身でだしを作り、様々な料理に活用してみてください。

だしの栄養などに関してはこちらでも詳しくご紹介しておりますので、お時間があればご拝読ください。

記事執筆者

大塚 智美

・現役保育園栄養士
・時短料理研究家

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