当院では、大田区が実施している「喉頭がん検診」を行っています。喉頭がんとは、いわゆる「のどぼとけ」の辺りにできるがんです。
40代以降に発症し、年齢とともに発症リスクが上がりますが、なかでも男性の発症が多いのが特徴で、その患者数は女性の10倍にも上ります。近頃は、有名歌手の方が喉頭がんを公表されたことなどにより、喉頭がんの認知度も上がってきており、当院でも検診を希望される方が増えてきています。喉に気になる症状がある方は、ぜひこの機会に区の検診を利用して、ご自分の喉の状態をチェックしておくことをおすすめします。
喉頭は、空気の通り道であり、口から取り込んだ飲食物が間違えて気管に入らないように調節しているほか、喉頭内にある声帯(せいたい)が、空気を振動させて声を出す重要な働きも持っています。
喉頭がんの主な症状は、「声がれ(嗄声:させい)」、「物が飲み込みにくい(嚥下困難)」、「呼吸が苦しく、ぜいぜい呼吸音がする(気道狭窄)」などで、進行すると喉頭を全摘して声を失う場合や、最悪、死に至るようなケースもあります。
喫煙や飲酒が引き金になることが分かっており、日頃からたばこやお酒の摂取量が多い人ほど発症する確率が高く、飲酒と喫煙両方の習慣がある場合は、更にリスクは高まります。
また、飲酒と喫煙以外にも、胃食道逆流症や、喉の使い過ぎなどが関係して発症するケースもあります。
検診の目的は、「がんを早期に発見し、適切な治療につなげること」です。
喉頭がんは、30代までに発生することはほとんどなく、患者数は、40~50代からじわじわと増え始め、70代にピークとなります。
「声がれ」などの自覚症状が出る場合もあるため、比較的、早期に見つけやすいがんでもありますが、がんの発症部位によっては無症状のこともあり、進行するまで気付かずに喉頭全摘となって声を失う例も少なくありません。
できるだけ早い段階でがんを見つけることができれば、その分、治療を行いやすく、声帯を残すことができる可能性も高まります。
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)
大田区にお住いの40歳以上の方で、次のいずれかに該当する方が受診できます。
ご本人が喫煙しなくても、ご家庭や職場などでの受動喫煙が気になる場合も、検診の
対象となりますので、まずはご相談ください。
喉頭がん検診では、以下の3つの検査を行います。
喫煙や飲酒習慣の有無、摂取の頻度、気になる症状、症状が始まった時期などのお話を詳しく伺います。
喉頭は直接見ることができないため、「喉頭鏡」という小さな鏡を口の奥に入れて喉頭の状態を観察し、がんの有無を確認します。
局所麻酔をした後、鼻から内視鏡を入れ、モニターに映し出された画像で喉頭の状態を観察します。
当院で導入している内視鏡は、オリンパス社製の高精細な機器ですので、患者さんの負担を減らしつつ、ミリ単位の小さながんも見つけることが可能です。
さらに当院では、せっかくの内視鏡検査の機会を活かし、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)による鼻茸(ポリープ)の有無や、上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんについても同時に検査を行っています。
当院では、一日20件以上の検査を行っており、診療技術には自信があります。
痛みの緩和のため、検査の際は、局所麻酔を使用いたします。
また、患者さんが感じる刺激が少なくなるように、検査方法も工夫して行いますので、安心してご来院ください。
自己負担金 500円 となります。検査を受けられる際には忘れずにご持参ください。
ただし、以下の方は自己負担金が免除となります。
自費 9000円(税別)で検査を受けることが可能です。
一つの医療機関で受けられる人数には制限があり、定員に達し次第、受付が終了となります。
検診をご希望の方はお早めに来院されることをおすすめします。
なお、大田区のがん検診についての詳細は以下のページをご覧ください。
https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/hoken/otona/gannkennssinnzyusinnhouhou.html
今回の検診で疑わしい状態が見られた場合には、生体検査(組織の一部を取って顕微鏡で調べる)、CT検査、MRI検査、エコー検査など、さらに詳しい検査を行うことになりますので総合病院へご紹介となります。(再検査は自己負担となり、保険診療による費用が生じます。)
お電話または各院のWEB予約からご予約ください。
年間、喉頭がんと新たに診断される人数は、全体で見ると10万人あたり3.9人ですが、年齢が上がるにつれ、その発症率は高くなります。
喉頭は、呼吸や食事をする上で重要な器官であるとともに、声を作り出す元でもあるため、周囲の人とうまくコミュニケーションをとるために必要不可欠なものです。
声を失うことは、とても大きなダメージであり、生活の質(QOL)を大きく下げてしまいます。
喉に違和感がある方はもちろん、日頃からタバコや飲酒の習慣がある方は、摂取量を見直すとともに、ぜひ区の検診を活用していただき、ご自身の喉の状態をチェックしてください。