耳の病気

耳管開放症

耳管開放症

耳管開放症は女性に多く、鼻の奥と耳をつなぐ“耳管”と呼ばれる管が開きっぱなしになる病気です。突然発症し、自分の話す声や呼吸の音が響いて聞こえる、耳が詰まった感じ(閉そく感)が現れますが、前かがみや仰向けの体勢になると、症状が軽減する特徴があります。鼻すすりなど耳抜きを行うと一時的に症状がよくなったと感じられることがあります。
さらに、この不快症状が続くと、ストレスとなり精神的にもつらくなり、日常生活に支障を来すこともあります。

この耳管開放症の原因として最近多いのが、“急なダイエットによる体重減少“です。
ほかにも、激しい運動による脱水、妊娠やストレス、ピル内服、顎関節症、中耳炎、睡眠障害などでも起こります。

軽症例では、自然治癒する場合もありますが、体調を整え、体重を戻すことでも改善することもありますが、放置は別の重大な病気(真珠腫性中耳炎など)に発展する可能性もあるため、症状が長引く場合には耳鼻咽喉科を受診しましょう。


耳管開放症の症状について


耳管開放症の主な症状は、次の通りです。

① 自分の声が響いて聞こえる(自声強聴)
② 自分の呼吸音が聞こえる
③ 耳が塞がった感じがする(閉塞感)

耳管開放症では、上記の症状が座ったり立ったりしているときに現れ、前かがみや仰向けになったときに軽減するという特徴があります。

普段、耳管は閉じており、唾を飲み込んだり、あくびをしたりすることで、一瞬耳管を開いて鼓膜の外と中の気圧の調節をしています。
しかし、耳管が開いたままになると、鼻から耳に空気が流れ込みすぎて、声が響いてしまい、発語しにくくなったり、話している声の大きさが分からなくなったりします。

また、季節的に暑い時期に発症する人が多くなるという傾向があります。

耳管開放症の原因は?


耳管開放症を発症する主な原因は、ダイエットや病後など体調不良後の体重減少による耳管周辺の“脂肪組織が痩せること”です。

ほかに、ストレスや妊娠、激しい運動による脱水、人工透析、中耳炎、顎関節症、ホルモンの異常、末しょう循環障害などでも起こりますが、原因不明の場合もあります。


(画像)メディカルイラスト図鑑|耳の構造図



耳管開放症の検査・診断について




耳管開放症は、医師による問診・視診によって診断されます。

耳管開放症の検査


・問診
耳鏡や内視鏡カメラを使って、呼吸に伴う鼓膜の動きなどを確認します。
・検査
聞こえの検査(聴力検査)や鼓膜の検査(ティンパノメトリー)を行うことで、他の病気が可能性を確認します。

耳管開放症の診断


次の3つに当てはまれば、確定診断となります。

① 3つの症状があるか(自分の声が響いて聞こえる、呼吸音が聞こえる、耳の閉そく感)
② 前かがみや仰向けといった体位の変化で、症状が治るか
③ 他覚的所見があるかどうか
・鼓膜と呼吸が同じリズムで動くか

これらのうち、①と②はご自身でも確認することができるでしょう。

当院では、内視鏡カメラを使い、鼓膜を見て、耳管の開放状況を確認します。
受診時に症状が出ていないと、③が見られない場合があります。

耳管開放症の治療について


耳管開放症は、いまだ明確な治療法は確立されておらず、原則的に生活指導や薬物療法などの保存的治療を中心に行われています。

生活指導


軽症であれば、生活習慣の改善だけで、症状が改善することもあります。



日頃から水分補給に努め、ストレスを溜めないように生活することを心がけましょう。

特に、急激な体重減少があった場合には、体重を増加させ元に戻すようにして、鼻すすり癖がある人は、真珠腫性中耳炎*1など別の重大な病気につながるリスクを高める恐れもあるため、意識して止めるようにしましょう。
*1真珠腫性中耳炎:耳の骨や周りの神経などを破壊し、脳まで進行すると最悪死亡することもあります。

また、患者様の病気への理解も治療に重要なポイントです。
当院では、病気に対する説明を丁寧に行っています。

薬物療法


生活指導と合わせ、薬物療法を行います。

一般的には、生理食塩水を点鼻する方法や耳管に薬を塗る処置を行います。
特に生理食塩水点鼻法は、軽症であれば点鼻直後から症状の軽減が実感でき、副作用もなく、使用回数・量などにも制限がないため、合併症がある方にも使用可能です。
高齢の方も安心して使用できます。(※腎不全などで塩分制限がある方は除く)
また、内耳の血流を改善させる薬や漢方薬(加味帰脾湯など)の内服も有効とされ、効果がある人は1~2週間で効いてきます。

手術療法


寝ている時以外、耳管が開いたままというような重症の場合には、手術(耳管ピン挿入法、耳管チューブ挿入法、自分の耳の軟骨を挿入する方法など)となる場合があります。
また、手術療法に対応している病院は、限られています。

よくあるご質問



1)急に「耳の閉そく感・聞こえにくさ」が出ました。耳管開放症ならば、少し様子見をしても大丈夫ですよね?


耳管開放症の症状として、「耳が詰まった感じがする閉そく感」「聞こえにくさ」は確かにありますが、同じような症状が出る疾患も多数あります。
特に、突発性難聴の場合には、一刻も早く治療することが聴力の回復に不可欠です。

前かがみになる、仰向け(あおむけ)になっても、症状が改善しない場合には、別の病気の可能性が大いにあります。

自己判断で放置せずに、一度耳鼻咽喉科を受診することをおすすめします。

2)耳管開放症は、どうして前かがみや仰向けになると、症状が改善するのでしょうか?


前かがみや仰向けになると、重力によって耳管の粘膜がうっ血して腫れます。
その結果、開いていたままの耳管が閉じるようになるので、一時的に症状が改善して感じます。

この体位による症状の変化は、耳管開放症の一番の特徴です。

まとめ




耳管開放症は、聴力検査や鼓膜に異常が見られないことも多く、さらにいつでも症状が出ているわけではないので、検査をしても「異常なし」と診断されることもしばしばあります。

しかし、自分の声が大きく響いて聞こえることは、想像以上に不快な状態です。
人の話も聞き取りにくくなるので、次第に会話を避けるようになって、精神的にイライラし参ってしまう人も少なくありません。

当院では、問診を十分に行って、患者様の不快症状について、丁寧に診察するよう心がけています。

自分の声や呼吸音が耳に大きく響いて聞こえるなど、聞こえ方に違和感がある方、気付いたら鼻をすすっているという方は、お気軽に当院までご相談ください。

記事執筆者

西馬込あくつ耳鼻咽喉科
院長 阿久津 征利

日本耳鼻咽喉科学会 専門医
日本めまい平衡医学会 めまい相談医

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